モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 ふたりに非難されて萎縮してしまい、上手く言葉が出て来ない。

 すると信じられないことにユリアンがベアトリスをかばうように間に入り、ふたりの冷たい視線を遮ってくれた。

「ゲオルグ、ツェザールそこまでだ」
「ユリアン? どうしてかばうんだ?」

 ツェザールが食ってかかる。

「令嬢が怖がるのも無理ない環境だ。責める必要はないだろう」

 ユリアンはまだなにか言いたそうなツェザールたちの話を聞かずに振り向き、ベアトリスを見下ろした。

「クロイツァー公爵令嬢。不安になるのはわかるが、ここで立ち止まる方が危険だ。もう少し耐えてくれ」
「は、はい。申し訳ありません」

 まだ怖い気持ちは無くなっていない。それでもユリアンの落ち着いた声を聞いていたら少し気持ちが楽になった。

「クロイツァー公爵令嬢とカロリーネ嬢は、私たちのすぐ後についてきてくれ。離れているとなにかあったときに対処が遅れる」
「はい」

 カロリーネとともに、言われた通りユリアンたちのうしろについていく。

「ベアトリス、私もついているから大丈夫だからね」
「ありがとう、カロリーネ」

 優しい友人の言葉に、ベアトリスは微笑む。それからユリアンのすっと背筋の伸びたうしろ姿を見つめた。

(厳しくて怖い人だと思ってたけど、間違っていたみたい)

 本当はとても優しくて気遣いがある人なのだ。

(あとでお礼を言いたいな)
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