モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 カロリーネたちが捜索はしてくれているだろうが、他国にいるなんて思わないだろう。

「待っていても助けが来る望みは薄い。現状を知るためにも、まずはこの森から出るのが先決だ」
「はい。でもどちらに行けばいいんでしょうか」
「とりあえず進もう。いつ魔獣が出てくるかわからないから注意しなくては」

 これは討伐訓練ではなく実戦だ。ベアトリスはごくりと息をのむ。

「行こう」
「はい」

 訓練のときと同じようにユリアンの後について進む。

 森の中はとても静かだった。心配していた魔獣は今のところ気配を感じない。

 そうすると静寂が気になり始める。

(なにか話しかけた方がいいかな……でもユリアン王太子と会話が弾むような話題なんて思いつかないし)

 結局無言のまま歩き続ける。
 辺りの景色に変化はなく、延々と緑の木々が続いているだけだ。

(本当に森から出られるのかな)

 優秀なユリアンの判断なのだから今の道の選択が最善なのだろうが、このままずっと迷子なのではと不安が込み上げる。
 疲労がたまってきているから余計に弱気になるのだろう。

 どれくらいの時間が経ったのか、だんだんと頭がぼうっとしてきたとき、ふいにユリアンが立ち止まった。ベアトリスも彼に倣う。

「王太子殿下、どうし……」
「静かに、身動きするな」
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