モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
広範囲を凍りつかせる氷の威力は怖いほどだが、なぜかベアトリスには魔獣も魔法の余波も近づくことはなかった。
どれくらいの時間が経ったのか、魔獣は残り三体まで減っていた。ユリアンは高く飛び上がると地面に向けて氷を放ち、残りの魔獣にとどめを刺した。
辺りに静寂が戻る。ユリアンは剣をさやにしまうと、額の汗を乱暴に腕で拭った。深淵の森で魔獣と戦っていたときの涼しげな様子とは違い、多少疲れが見える。それほどここの魔獣が手強いということだろう。
(でも、ユリアン王太子はフェンリルを呼ばずに自分の魔力だけで戦っていたわ。どうしてなのかしら)
疑問に思いながらもベアトリスは魔獣の血の臭いが充満する中ユリアンのもとに駆けつけた。
「王太子殿下!」
「……クロイツァー公爵令嬢。けがはないな?」
ユリアンはベアトリスの様子を一瞥しながら確認する。
「はい。王太子殿下は?」
「かすり傷程度だ」
ユリアンの頬には小さな傷があり血が滲んでいた。体のほかの部分も同じような状態だろう。
「……申し訳ありません。王太子殿下ひとりに戦わせてしまって」
ともに戦うことも、治癒魔法で癒すことも、なにも出来ない自分が情けなくて苦しい。
「いい。それよりも移動しよう。ほかの魔獣が寄ってくる可能性は低いが、陽が落ちてからの移動は危険だ。どこか休める場所を探さなくては」
どれくらいの時間が経ったのか、魔獣は残り三体まで減っていた。ユリアンは高く飛び上がると地面に向けて氷を放ち、残りの魔獣にとどめを刺した。
辺りに静寂が戻る。ユリアンは剣をさやにしまうと、額の汗を乱暴に腕で拭った。深淵の森で魔獣と戦っていたときの涼しげな様子とは違い、多少疲れが見える。それほどここの魔獣が手強いということだろう。
(でも、ユリアン王太子はフェンリルを呼ばずに自分の魔力だけで戦っていたわ。どうしてなのかしら)
疑問に思いながらもベアトリスは魔獣の血の臭いが充満する中ユリアンのもとに駆けつけた。
「王太子殿下!」
「……クロイツァー公爵令嬢。けがはないな?」
ユリアンはベアトリスの様子を一瞥しながら確認する。
「はい。王太子殿下は?」
「かすり傷程度だ」
ユリアンの頬には小さな傷があり血が滲んでいた。体のほかの部分も同じような状態だろう。
「……申し訳ありません。王太子殿下ひとりに戦わせてしまって」
ともに戦うことも、治癒魔法で癒すことも、なにも出来ない自分が情けなくて苦しい。
「いい。それよりも移動しよう。ほかの魔獣が寄ってくる可能性は低いが、陽が落ちてからの移動は危険だ。どこか休める場所を探さなくては」