モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「はい。でもどうしてほかの魔獣が来ないとわかるんですか?」
「今倒した魔獣がこの辺りでは一番強い種族と思われるからだ」

 ユリアンが言うには、狼形の魔獣に襲われるだいぶ前から、一定の距離を取ってこちらを監視している気配を感じていたそうだ。

 しかしどれもたいした強さではなく、放っておいても問題ないと相手にしていなかった。

 ひと際強い力を感じる魔獣を退治して以降、監視の気配は消えたそうだ。

 つまり、ユリアンの方が強いと魔獣は本能的に察して逃げたということだ。

「ただこの森には通常の獣がいるかもしれないし、そうでなくても暗いところを歩き事故を起こすわけにはいかない」
「そうですね」

 魔獣については詳しくないが、森に入る際の注意点などは前世の記憶のおかげである程度の知識はある。

 ユリアンは魔獣の死骸から漂う血の臭いを遮断するためかすべてを凍らせてから、歩き出す。

 しばらく行くと小さな泉を発見した。

「湧き水みたいですね」

 意識していなかったが、清涼な水を見たら一気に喉の渇きを覚えた。

 ベアトリスは両手ですくってひと口飲む。ひんやりした水が喉を通っていった。

「おい、いきなり飲むやつがあるか!」

 ユリアンが慌てた様子でベアトリスの手を掴む。残っていた水がぱしゃりと地面に落ちた。

「え?」

 驚くベアトリスに、ユリアンはしかめた顔で言う。

「有害な水だったらどうするんだ?」
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