モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 ユリアンが面倒を見てくれているのでそこまで心配はしていないが、早く会いたいのはベアトリスも同じ。ただ神殿から帰還した途端に高熱を出してしまい、いまだベッドの中で過ごしている。

 ピピもここ数日眠ってばかりだ。とはいえ以前と違い寝顔は穏やかだし、起きている時間は元気にしているので、大きな力を使った疲れを癒しているだけだろう。

 ユリアンは毎日馬を飛ばして、クロイツァー公爵邸へベアトリスの見舞いに訪れる。

「熱はどうだ?」

 そうしてベアトリスが眠るベッドの隣でかいがいしく世話をするのだ。

「だいぶ下がったのでもう大丈夫なんですが、お父様たちがまだ安静にしていろとうるさいのでベッドから出られないんです。とくにお母様は過保護になってしまって」

 母はベアトリスが誘拐されたことで大きなショックを受けて自分を責めたそうだ。

『あのとき、どうにも怪しい気がしていたのよ。王太子命令でも行かせなければよかった』

 そう言い、より慎重に用心深くなってしまった。

「仕方ない。俺もベアトリスがさらわれたと知ったとき、肝が冷える思いだった」

「でもユリアン様は、ツェザール様が王家を裏切ったわけではないと知っていたのでしょう?」

 彼は国のために聖女を見つけ出すことと、ユリアンが悪女を娶るのを妨害しようとした。王家への忠誠心は信じられるだろう。

「それでもベアトリスを完全に守るとは思えなかった」
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