モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 考えすぎだからかずきずきと痛む頭を押さえていると、ユリアンが皆をなだめるように落ち着いた声を出した。

「クロイツァー公爵令嬢。特別強い魔力を持つ人間は感覚でわかるものだ。気になる女性を見つけたら、左手を確認してくれ。そして印があったら私かこのふたりに知らせてもらいたい」
「は、はい……分かりました」

 ベアトリスが討伐訓練と並行して行えるとは思えないが、王太子命令だ。やるしかない。
 それによく考えたら、聖女が見つからなかったら、精霊が消えてしまうかもしれないのだ。
 気が進まないなんて言っている場合ではない。
 他人に任せるだけでなく、ベアトリスも動かなくては。

(不安だし自信はないけど、これからもピピと一緒にいるために頑張るしかないわ)

 ベアトリスが気持が前向きになったと気付いたのか、ユリアンが表情を和らげた。

「討伐訓練に関しては、心配しなくて大丈夫だ。私がフォローする」

 意外な言葉にベアトリスは目を丸くする。

(え? ユリアン王太子が、私の魔獣討伐を手助けしてくれるの?)

 彼らなら、訓練で遭遇する魔獣くらいあっさり倒せそうだけれど。

「お気遣いありがとうございます。聖女様が見つかるように頑張るのでよろしくお願いします」
「ああ、頼んだ」

 ユリアンは機嫌よさそうに微笑んだ。
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