モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「トリスちゃん、気をつけるのよ」
討伐訓練の朝。クロイツァー公爵家の玄関ホールには、心配顔の公爵夫人と兄ランベルトがベアトリスの見送りに出ていた。
「はいお母様。無理はしないと約束します」
母はかなり心配顔で、じつは聖女捜しもなんて口が裂けても言えない雰囲気だ。
「昨日渡したアミュレットはちゃんと持っているか?」
「はいお兄様。ここに」
ベアトリスは制服の胸もとから、ペンダント形になっているアミュレットを取り出した。
ゴールドのチェーンにヘッドは大きなルビーで、クロイツァー公爵家の紋章である炎の鳥が刻まれているものだ。
優しい兄が討伐に出る妹のために用意してくれたもので、強力な守護の力が込められているのだとか。
「お兄様本当にありがとうございます。とても心強いです」
「ああ。だがアミュレットがあるからと無理をしてはだめだからな」
「はい」
自分で言うのもなんだが、自ら危険に飛び込む勇気などない臆病な小心者だ。
(でも以前の私は向こう見ずで自信家だったから、心配なんでしょうね)
「お母様、お兄様、行ってきます」
ベアトリスは笑顔で玄関扉を出て、横づけされていた馬車に乗り込む。