魔法のいらないシンデレラ
やがてメイクが整うと、今度は髪をクルクルとアイロンで巻く。

そして、まるで花嫁さんのようなかわいらしい髪型にまとめると、お花をあちこちに飾りつけた。

「え、あの、いったい?」

戸惑う瑠璃に、
「うわー、かわいい!我ながらすてきな仕上がり!」
と、杉下は嬉しそうに笑った。

「では、最後にこちらをどうぞ」

そう言って、ドレスカバーからハンガーを取り出す。

「な、なんてきれいなドレス…」

きっと、花嫁さんのお色直しのカラードレスに違いない。

ロイヤルブルーのそのドレスは、胸元がオーガンジーでふんわりとしていて、全体にキラキラ輝く星のような刺繍が入っていた。

「お似合いになりますよ、きっと。さあ、どうぞ」
「え、わ、私が?こんなすてきなドレスを?」
「ええ」

杉下はにっこり笑って、さあ!と瑠璃をうながした。
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