敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「きゃあっ! ジークフリード殿下っ!? 大丈夫ですか!?」
 なぜかジークフリード殿下だけ濡れネズミになっていた。
《きちんと形を整えると言った舌の根も乾かぬ内に、エミリアに不埒な真似をしようとは見過ごせませんね》
 脳裏に直接響く、少し苛立たしげなこの声は……。
「ディーノ!?」
 私以外に精霊たちの姿は見えないし、その声も聞こえない。だけど、彼らがいれば私はどうしたってその存在を意識してしまうから、人の目がある時に彼らが姿を現すのは珍しかった。
 キョロキョロと周囲を見回したら、憤慨した様子のディーノが湖の上空を浮遊していた。
 羞恥や驚き、ディーノに見咎められた気まずさ、いろんな感情が胸でない交ぜになっていた。ただし、その中にジークフリード殿下への嫌悪感はない。
 心臓が胸を突き破りそうなくらいドキドキして恥ずかしかったけれど、私は中断された行為……殿下とのキスが嫌ではなかったのだ。
《ちょっとディーノ、僕たちが人間に直接関与しちゃさすがにマズいよ~》
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