敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 殿下とすれ違うと、妙齢の女性のみならず老若男女がこぞって感嘆の息を漏らした。彼らはひとしきり殿下を眺めた後は、必ず殿下の隣に立つ私に目を向ける。そうして一様に目を見開いて固まるのだ。
 ……うぅん、明らかに顔が強張っているわよね。
 アニータはああ言って励ましてくれたが、敗戦国の王女に向けられる現実はやはり厳しいようだ。アニータに励まされ、膨らんでいた気持ちが萎んでいく。
 思わず背中を丸めてしまいそうになるけれど、同伴する殿下に恥をかかせるわけにはいかないと必死で平静を装った。
「陛下、歓談中に失礼します。妻のエミリアを紹介させてください」
 ジークフリード殿下は、躊躇なく国王陛下らが歓談する輪の中に入っていった。王太子殿下の登場に大臣らはピタリと口を噤み、陛下も会話を中断して私たちに視線を向ける。
「貴殿がアドランス王国の王女か」
 陛下は引きつった顔で、私の横に立つ殿下の方をチラチラと窺っていた。なぜか大臣たちもしきりに殿下のことを気にしていた。
 ……なんだろう。
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