敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「ほほっ。娘もこう言っておる。ジークフリードや、後でイベンヌと一曲踊ってやってくれ。なに、心配せんでもイベンヌはもう立派な淑女だ。パートナーの足を踏み付けてばかりいた子猿ではないぞ」
「やだっ! お母様ったらジークお兄様にへんなことをおっしゃらないで!」
 母子の私への態度はかなり不遜ではあったけれど、ジークフリード殿下に向ける笑顔や語り掛ける声には親密さが滲んでいる。彼女たちと殿下のこれまでの親交が容易に察せられた。
 私は身内に縁が薄い。だから素直に殿下が羨ましいし、伯母や従妹たちと今後もいい関係を続けてほしいと思った。

 会場には参加者がひしめいている。ジークフリード殿下と一緒ならいざ知らず、私ひとりならば容易に人に紛れてしまえるだろう。そう思っていたのだが。
 ……うぅっ、甘かった。さっきからけっこう見られてる。
 時々なにか言いたそうにしている男性もいたが、そんな時は小柄な体を活かし人波に紛れて躱した。
 そうしてやって来た飲食スペースで、私はその豪華さに目を丸くする。
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