敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 エミリアの姿はテラスにあった。彼女は長身の美丈夫と踊っていた。ふたりにほど近いベンチには気品溢れる初老の紳士がなぜか手に白い空き皿を持って座り、踊るふたりを眺めていた。
 俺はひと目で彼らから視線が逸らせなくなり、ガラス張りの扉に張り付いてテラスの様子を注視した。偶然なのか、はたまた何某かの力が働いていたのかはわからないが、俺以外テラスにいる彼らに目を向ける者はいなかった。
 貴族名鑑はほとんど頭に入っていた。特に王家主催の舞踏会に参加するような主だった貴族であれば、漏れなく顔と名前を記憶している。けれど彼女と踊る銀の長髪に水色の目をした男も、琥珀色の目でやわらかに彼女を見つめる長い白髭を貯えた紳士にも覚えはない。
 神々しいほどの気品と存在感を放つ彼らを見つめながら、自ずと確信した。彼らは人ならざる存在なのだと。
 無意識にゴクリと喉が鳴った。
< 142 / 265 >

この作品をシェア

pagetop