敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 その時。流れるようなリードでエミリアをターンさせ、男がひたと俺を見据えた。男と目があったのはほんの一瞬だが、その一瞬で俺という人間が丸裸にされてしまったような心地がした。
 銀糸を紡いだような髪と清流を思わせる水色の瞳を持つこの男は、おそらく水の精霊神。以前、湖で俺に水を浴びせかけたのは十中八九この精霊だ。
 ベンチにいる紳士も四精霊のうちの一神だろう。見えていないだけで、もしかすると他の精霊神もいるかもしれない。
 彼らの存在に驚きはあれど、懐疑の念は浮かばなかった。その姿を現わさないだけで、きっとエミリアがいる場所にいつだって彼らはいるのだろうから。
 曲の終わりと共に彼らは空気に溶けるように姿を消し、俺はたった今やって来たふうを装ってエミリアの元に向かった。

 ──あの夜の回想から意識が今に戻る。
 なぜ、あの時あのタイミングで彼らは俺に姿を明かしたのか。
< 143 / 265 >

この作品をシェア

pagetop