敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない！～加護持ち側妃は過保護に甘やかされています～

　ガルニア王国の王都は、一段高い場所に建つ王宮を囲うように騎士団や教会、国立の研究所といった国家機関が建ち並び、その周囲に居住区が広がっている。居住区の王宮寄りには貴族邸宅が多く、遠ざかるにつれて市民の邸宅が増えていく。この居住区の外に職人たち、農業や畜産業に従事する人たちがそれぞれ集落を作って暮らしている。
「そういえば、最近この国の歴史や社会風俗といった本を読んで勉強しているそうだな？」
　興味津々で周囲の様子を眺める私に、思い出したように殿下が話を振ってきた。
　そろそろ国家機関が建ち並ぶ区画を抜けて居住区に入ろうとしていた。〝街〟といえば基本的に住民らが集う居住区を差し、商店や組合、公園など民の暮らしに関わる施設もこの区画内に集っている。
「恥ずかしながら、私は家庭教師について教わった期間が短く、この国についても知らないことばかりです。なので本を読んでいるのは事実ですが、勉強というにはおこがましいほどその内容は基本的なことばかりで」