敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 アニータから聞いたのだろうが、殿下から感心したように見られるのは居た堪れない。私が本から学んでいるのは、本来なら嫁いでくる前に知っているべきことなのだから。
「いいや、内容の難易は関係ない。君がこの国のことを知ろうと励んでくれている、そのことが嬉しい。そしていつか君がこの地を第二の故郷として愛し、受け入れてくれたら更に嬉しいのだがな」
 トクンと鼓動が跳ねた。同時に、少しの反発心も胸に湧く。
 殿下の言葉は、まるで私と共に肩を並べて歩む未来を望んでいるかのように聞こえる。そんな未来はあり得ないのに、期待させるようなことを真顔で口にする殿下は、実はとても悪い男なのかもしれない。
 私がいくら線引きしても殿下はやすやすとそれを越え、距離を詰めてくる。そうして、ともすれば勘違いしそうになるこんな台詞を囁いて、私の心にじわじわと侵入する。
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