敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
もしかすると殿下は、私が意図的に注意を余所に向けようとしたことに気づいたかもしれない。
気づいていながら、あえて私に乗っかってくれる殿下はやはり大人で、とても寛容だ。彼との会話を放棄して逃げた臆病で子供じみた私とは大違いだ。
「ジャグリングというんですね。まぁっ、ボールをあんなに高くまで……すごい!」
たまたま人目を集めていたそれに嬉々として便乗した形だが、ボールが自在に動くさまは圧巻だった。
「エミリアはサーカスを観たことは?」
目を輝かせる私に、殿下が問う。
アドランス王国にいた頃、継母が何度かサーカス団を王宮に招いて観覧していたけれど、私がその席に招かれたことはなかった。
「ありません」
当時の悲しい記憶が蘇り、無意識に俯いてしまう。そんな私になにを言うでもなく、殿下がキュッと私の手を握った。
顔を上げると殿下がやわらかに目を細め、私を見下ろしていた。
「今から行けば午後一番の公演に間に合う、行くぞ」
「あっ」
気づいていながら、あえて私に乗っかってくれる殿下はやはり大人で、とても寛容だ。彼との会話を放棄して逃げた臆病で子供じみた私とは大違いだ。
「ジャグリングというんですね。まぁっ、ボールをあんなに高くまで……すごい!」
たまたま人目を集めていたそれに嬉々として便乗した形だが、ボールが自在に動くさまは圧巻だった。
「エミリアはサーカスを観たことは?」
目を輝かせる私に、殿下が問う。
アドランス王国にいた頃、継母が何度かサーカス団を王宮に招いて観覧していたけれど、私がその席に招かれたことはなかった。
「ありません」
当時の悲しい記憶が蘇り、無意識に俯いてしまう。そんな私になにを言うでもなく、殿下がキュッと私の手を握った。
顔を上げると殿下がやわらかに目を細め、私を見下ろしていた。
「今から行けば午後一番の公演に間に合う、行くぞ」
「あっ」