敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「もちろんです」
芝居がかった動きで差し出された手に、私は綿菓子を持つのと逆の手を重ね──。
「きゃっ!? え、なに? なんで!?」
手と手が触れようとしたまさにその瞬間、ピエロの手に一凛の薔薇の花が出てきた。そうして目を丸くする私にピエロは満面の笑みで、そっと薔薇の花を握らせた。
「いい一日を」
ピエロはそう言って先へと歩いていった。
「ありがとう、ピエロさん!」
私が薔薇と綿菓子をそれぞれの手に握りしめてお礼を叫べば、ピエロは後ろ手にヒラヒラと手を振って応えてくれた。
「嬉しい……!」
「よかったな。……それにしても、なんとも粋な計らいをするピエロだ。すっかりエミリアの関心を攫っていってしまった」
殿下がぼそぼそとつぶやいている。
「殿下? なにかおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもない」
殿下は口の端をちょっとだけ歪めて笑い、緩みっぱなしの私の頬をツンとつついた。気安い態度の殿下に、私の頬がますます緩んだ。
芝居がかった動きで差し出された手に、私は綿菓子を持つのと逆の手を重ね──。
「きゃっ!? え、なに? なんで!?」
手と手が触れようとしたまさにその瞬間、ピエロの手に一凛の薔薇の花が出てきた。そうして目を丸くする私にピエロは満面の笑みで、そっと薔薇の花を握らせた。
「いい一日を」
ピエロはそう言って先へと歩いていった。
「ありがとう、ピエロさん!」
私が薔薇と綿菓子をそれぞれの手に握りしめてお礼を叫べば、ピエロは後ろ手にヒラヒラと手を振って応えてくれた。
「嬉しい……!」
「よかったな。……それにしても、なんとも粋な計らいをするピエロだ。すっかりエミリアの関心を攫っていってしまった」
殿下がぼそぼそとつぶやいている。
「殿下? なにかおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもない」
殿下は口の端をちょっとだけ歪めて笑い、緩みっぱなしの私の頬をツンとつついた。気安い態度の殿下に、私の頬がますます緩んだ。