敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 男性がファイヤージャグリングで使ったトーチを一本だけ持ったまま、口になにかを含んだ。そうしてトーチの先端の炎に向かい、先ほど口に含んだなにかを霧状にして吹き掛ける。
 直後、男性の口から炎が燃え上がる。
 ……すごいわっ! 口から火を吹いている!!
 炎は水平に数メートル伸び、派手な火吹きの演技に大歓声が沸き起こった。
 ところが、歓声は一瞬にして悲鳴に変わる。
 突如男性の顎回りが燃え上がり、見る間に火は着衣へと燃え移る。成功したかに見えた火吹き芸だが、彼は吹いた燃料の一部を口端からこぼしてしまい、それが首へと伝い落ちていたのだ。
「精霊神のいとし子エミリアが希う! 火の精霊サラマンダー【火を消して!】」
 引火を確認した瞬間に、私は叫んでいた。
《承知した》
 即座にサラマンダーが応じ、あっという間に火が消える。
 ステージ上に倒れている演者の男性は、まだ楽観はできないが最小限の火傷で済んでいるようだった。
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