敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 今では、危なげなく速歩で走れるくらいになっている。
「さぁ、ヒューラ!」
 頼もしい相棒は私の意図を的確に察し、ヒヒィンと嘶いて走りだす。
「エミリア様! お待ちください!」
 背中にアニータの声が聞こえたけれど、私はかわまずに通用門から飛び出した。

***

【深更の空が朱き禍に覆われし時、幾千の星が燃え滾る火球となって降り注ぐ。】

 王家に伝わる禁書は、こんな一節から始まっている。
 赤色に染まった空をひと目見て、今がまさにその『時』なのだと気づいた。
「エーテル山でなにをなさるおつもりなのですか? そろそろ私にも教えていただけませんか」
「初代王モーリスと同様に……いや、それ以上に俺は今まさに彼らに試されているのだ」
 馬で並走するハウイットに問われ、目前に迫る霊峰・エーテル山を見据えながら答えた。
「試されて? ……どういう意味でしょうか」
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