敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 試すように聞いてくるハウイットに冷ややかな目を向ける。
「馬鹿を言うな。王女に個人的な関心は無い。ただ、その人となりによって対処のしようも変わる」
 俺の答えにハウイットは口角を上げて頷くが、その瞳はかけらも笑っていない。
「安心いたしました。いずれジーク様は然るべき女性をご正妃に迎えることになる。万が一にも、側女が先に孕んでは面倒ですから」
 一見気さくなようでいて、ハウイットはその実どこまでも合理的だ。俺への忠誠も、疑うべくもない。
 そしてある意味、この男は俺よりも割り切りがいい。万が一ハウイットが言うところの面倒事が起こった時、果たしてこの男はどんな手段を講じる気やら……。
一貫した奴の態度が、俺の中で燻っていた怒りの温度を低くする。
「それは残念だ。どんな具合か確かめてみるのも一興だったがな」
 腹立たしさはなくならないが、今後の道筋が定まると軽口を叩く余裕も生まれた。
「おやおや、未来の王がずいぶんと下品なことをおっしゃる」
< 22 / 265 >

この作品をシェア

pagetop