敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「殿下! 火球はあと四十個ほどで止むそうです! もう少し、頑張っていただけそうですか?」
「あと四十か……! まったく問題ない!」
 殿下は即答した。明確に終わりが示されたことで、彼の目に鋭気が宿っていた。とうに筋力の限界を超えた全身が激しく震えていたが、射る精度は上々だった。
 私はその間ずっと殿下の傍らに寄り添っていた。
「……エミリア。すまないが、俺に触れてくれないか」
 いよいよ血の気がなくなり、青くなった唇から細切れに乞われ、私は傷に触れぬよう留意しながらそっと背中に手を添えた。
「あぁ、力が湧いてくるようだ」
 殿下がホゥっとこぼした言葉に、目頭が熱くなった。
 不思議な一体感に包まれながら、禍の空をきつく見据える。殿下と一緒に射ているような心地で、彼の弓射を見守った。
《東の空が普通の色に戻り始めた。禍がじきに終わる》
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