敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 くぐもったふたつの声を聞いた気がして、そういえば殿下が飛んでいった方向にハウイットさんが倒れていたのを思い出す。慌てて視線を向けようとしたけれど、人間サイズになったディーノが私の視界を塞ぐみたいに立ってしまう。
 ディーノは殿下が飛んでいった方を虫けらでも見るように一瞥して私に目線を戻すと、それはそれは綺麗に微笑んだ。彼に首の後ろと背中に手を添えて起こされて、ほど近い距離にある彫刻のような容貌に思わず見惚れた。
「《さぁエミリア。この地から災厄は去りました。私たちと共に戻りましょう》」
 舞踏会の夜と同様に、彼の声を脳内ではなく直接耳で拾った。
「なんで急に人間サイズになってるの……!?」
 しかもディーノの出で立ちは、まるで王宮の玄関ホールに掛けられた宗教画の中の神様のよう。美貌を誇る長身の精霊に、絹地に銀糸の刺繍が施された長衣カフタンが一層の威厳を付与し、その神々しさは見る者を圧倒する。ひとつの例外すらなく、一瞬ですべての人の目と心を釘付けにしてしまうだろう。
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