敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 体が浮く感覚は相変わらずだが、流れていた風を感じなくなったので、おそるおそる目を開いてみる。
「うそ!? ここって王宮!?」
 驚くべきことに一時間ヒューラを走らせ、五時間かけて登ったエーテル山の山頂から、物の数秒で王宮に帰り着いていた。しかも、尖塔の上空をふわふわと浮遊していた。
 風を孕んでひらりと翻るスカートの白さにハッとする。
 ……あら!? ドレスが新しくなっているわ!
 土に汚れた夜着が、いつの間にかやわらかな薄絹の綺麗なドレスに替わっていた。
 ふと、階下のざわめきに気づく。
 目線を落とすと王宮の敷地内はもちろん、通りや広場など辺りにひしめく全ての人々の目がこちらに注いでいた。さらに王宮前庭には、この瞬間にもぞくぞくと宮中から人が飛び出してくる。その中には目を丸くした陛下や宰相閣下、大臣たちにアニータの姿もあった。
「っ、これはいったい……?」
 低い呻り声を耳にして振り返ったら、引きつった表情の殿下とハウイットさんが私のすぐ後ろに浮かんでいた。
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