敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「殿下! ハウイットさん!」
 精霊のみんながやってくれたのだろう。ふたりとも付着していた血が綺麗になっていて、白い粘土で傷の手当てもされていた。
 あぁ、よかった! ふたりとも無事みたい!
 ほとんど襤褸切れだった着衣も、やはり正装に変わっていた。加えて殿下の手には、例の弓に似た大型の武具もしっかりと握られていたのだが……。
 山で見た鈍色とは違い、今はキラキラしい金色へと色を変えた弓に首をかしげていると。
「《さぁエミリア。西の空に滞った禍を追い払うことも、粉塵を浄化することも、すべてはあなたの心のままです》」
 ディーノに耳もとで指針をほのめかされてハッとした。
 ……そうか。私にはまだやれること、やるべきことがある。ボーッとしてる場合じゃない。
「《我ら精霊神のいとしき姫。あなたの願いをお命じください》」
 さらにディーノは、集まった人々に見せ付けるように慇懃な所作で声高に続けた。
 私はスゥッとひと息吸い込んでから、シルフに向き合う。
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