敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 ディーノにしても、胸の前に片手をあてて粛々と私の言葉を待つシルフにしても、明らかに人に見せることを意識した振る舞いをしているとわかる。これは、私を『聖女』と知らしめるためにみんなが用意してくれた舞台なのだ。
 痺れるような緊張の中で、私は成句を唱えた。
「精霊神のいとし子エミリアが希う! 風の精霊シルフ【西の空に残る禍を追い払って!】」
「《承知。姫のおおせのままに》」
 シルフはニコッと微笑むと、伸び上がってチュッと私の左頬にキスをした。
 そうしてひと呼吸の後には、西の空に停滞していた赤黒い禍がスーッと消え去り、一面青空が広がった。
 目に見えるこの変化に、周囲がワァッ!!っと歓声に包まれる。
 シルフは機嫌よさげに、眼下にひらりと手を振った。精霊神の大盤振る舞いに、再び大歓声があがったのは言うまでもない。
「精霊神のいとし子エミリアが希う! 土の精霊ノーム【住宅地、及び農地に積もった不要な灰や塵を除去して!】」
「《承知した。我らが姫君》」
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