敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 頬を赤らめてもじもじと俯く私の耳に、アニータの笑い声が届く。
「ふふふっ、エミリア様って女の私から見ても本当にお可愛らしい。……これでは殿下は理性の限界やらもんもんやら、いろいろお察しいたしますわ」
「なぁに? よく聞こえなかったわ」
「いえいえ、今のはお気になさらず。最後に私からひとつだけ助言させていただきますと、そのように潤んだ目で唇を尖らせ上目遣いで見られますと、思わず食べてしまいたいくらいの破壊力でございます。ですので、狼に変身した殿下に食べられてしまいたくなかったら、その仕草はオススメしません。……それではエミリア様、温かい夜をお過ごしください」
 声の音量があがっても、結局言葉の意味がいまひとつわからないまま、アニータにトンと背中を押されて私は殿下の部屋に……。
「あ、そうだわ」
「どうされました?」
 ジーク様の部屋に行こうとしていた足を方向転換し、寝台脇のサイドテーブルに向かう。
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