敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 訝しむ彼を見て、もしかして余計なことを言ってしまったかと後悔するが、一度口にした言葉は戻ってくれない。
「実は私、物心ついてから王宮を……というか暮らしていた宮からまともに出たことがないんです」
「王宮以外で公務の機会がなかったにしても、外出くらいはしただろう。王家の豪遊ぶりは有名だ。国内各所に所有する保養地に一家で季節ごとに出向いていたと我が国にも聞こえていたが?」
「恥ずかしながら、その一家というのに私は含まれていなかったんです」
「なぜだ? 王女でありながら、なぜ君はそうも冷遇されていた?」
 唸るような低い声。どうやら彼は私の境遇に怒ってくれているようだ。
「仕方ないのです。私は呪われた王女ですから」
「その噂は俺も知っている。しかし、俺には其方がそのように邪悪な存在だとは到底思えん」
「えぇっと。ですが私は詳しくは申し上げられないのですが、実際に呪いといわれても仕方ない力を持っていて……」
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