敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
指先に口付けられ名乗りを受けた時は、あまりの驚きに一瞬理解が追いつかなかった。けれど、すぐに手を引いて自戒の弁を伝えた。
ジークフリード殿下に安心してほしい一心だった。ところが私の予想に反し、殿下の表情は目に見えて強張り、セルリアンブルーの瞳はその色を暗くした。私は彼の変化に戸惑った。
なんで? どうして? そんな疑問符がいっぱいのまま、私はハウイットさんに伴われて逃げるように殿下の前を後にした──。
あの時。去り際に見た切なさを孕んだ彼の瞳が頭から離れない。
なぜ彼は、政略で娶っただけの側妃──それも事実上の人質である私にあんな目を向けるのか。こんなに豪華な客間まで与え、遇するのはどうしてなのか。
人質の側妃には明らかに過ぎた待遇に戸惑いが隠せない。いったい彼は、私をどうしたいのだろう?
──コンコン。
扉がノックされ、束の間の物思いから意識が戻る。
「おはようございます、エミリア様」
ジークフリード殿下に安心してほしい一心だった。ところが私の予想に反し、殿下の表情は目に見えて強張り、セルリアンブルーの瞳はその色を暗くした。私は彼の変化に戸惑った。
なんで? どうして? そんな疑問符がいっぱいのまま、私はハウイットさんに伴われて逃げるように殿下の前を後にした──。
あの時。去り際に見た切なさを孕んだ彼の瞳が頭から離れない。
なぜ彼は、政略で娶っただけの側妃──それも事実上の人質である私にあんな目を向けるのか。こんなに豪華な客間まで与え、遇するのはどうしてなのか。
人質の側妃には明らかに過ぎた待遇に戸惑いが隠せない。いったい彼は、私をどうしたいのだろう?
──コンコン。
扉がノックされ、束の間の物思いから意識が戻る。
「おはようございます、エミリア様」