敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない！～加護持ち側妃は過保護に甘やかされています～

「まぁ、素敵！」
　アニータは数あるドレスの中から春らしい一枚を選び、手際よく着せ付けてくれた。
　軽やかな布地で仕立てられた真新しいドレス。やわらかなその感触に、ほぅっと感嘆の息がこぼれた。

　身支度が整うと、アニータの案内で食堂に向かう。
　侍従が開いた扉の向こう。そこに見えた人影に、パチパチと目を瞬く。
　大きなガラス窓からやわらかに注ぐ朝日の下、爽やかな笑みを浮かべる美貌の青年は──。
　なんで!?　どうしてジークフリード殿下がいるの？
「おはよう、エミリア。さぁ、こっちに掛けてくれ。朝食にしよう」
「お、おはようございます」
　動揺しきりのままなんとか挨拶を返し、招かれるまま殿下の方へ足を進める。
　殿下自ら椅子を引かれ、彼の隣の席に腰を下ろす。
　私たちの前にはすでにカトラリーが並んでいて、着席のタイミングにあわせて続々と料理が運ばれてくる。