敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 殿下が私の言葉を割る。
「君がとても幸せそうに食べるから、ついつい目が逸らせなくなってしまった。無粋に見つめてしまい、俺こそすまない」
「いえ、そんな」
「温かいうちにどんどん食ってくれ」
 言うが早いか殿下は私の皿に追加のパンを置く。
「待ってください! そんなに食べられません!」
「遠慮するな。君は細すぎる」
「いえ、遠慮ではなく……」
 慌てて言い募るが、殿下は意に介さない。その後も殿下は自分の食事の傍ら、私のグラスにジュースを注ぎ足してみたり、ナプキンを差し出してきたり、世話を焼くのに余念がなかった。
 私はあまりの畏れ多さに目眩を感じそうだったのだが、私を見つめる殿下の表情はどこまでも楽しそうだった。
「もったいない……」
 はち切れそうなお腹を抱え、目の前の皿とグラスを見つめてこぼす。
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