敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
とてもではないが顔を上げることができず、殿下の腕の中で借りてきた猫のように身を縮めて廊下を進む。
……あら? これって。
その時、ふいに鼻腔を掠める香りに気づき、クンッと鼻をヒクつかせた。
殿下から馴染みのある香りがしていた。香りというのは不思議で、同じ成分のものを身に付けてもその人の体臭や体温などにより微妙に変化する。
きっと殿下は私と同じハーブを愛用しているのだろう。だけど私とよく似た清涼感を前面にしながらも、殿下が纏う香気はどことなく深みがあって男性的。密着した体勢と相まって、私は一層ドキドキと落ち着かなくなった。
「あの、どちらへ行かれるのですか?」
昨日の正面玄関とは別の、少し簡素な出入り口から殿下は外に出た。
「庭だ。本当はもっとゆっくり色々なところを案内してやりたいが、生憎この後は外せない政務が詰まっている。あまり時間が取れないから、今日のところは少し庭を歩こう」
申し訳なさそうに告げられて返事に困る。
……あら? これって。
その時、ふいに鼻腔を掠める香りに気づき、クンッと鼻をヒクつかせた。
殿下から馴染みのある香りがしていた。香りというのは不思議で、同じ成分のものを身に付けてもその人の体臭や体温などにより微妙に変化する。
きっと殿下は私と同じハーブを愛用しているのだろう。だけど私とよく似た清涼感を前面にしながらも、殿下が纏う香気はどことなく深みがあって男性的。密着した体勢と相まって、私は一層ドキドキと落ち着かなくなった。
「あの、どちらへ行かれるのですか?」
昨日の正面玄関とは別の、少し簡素な出入り口から殿下は外に出た。
「庭だ。本当はもっとゆっくり色々なところを案内してやりたいが、生憎この後は外せない政務が詰まっている。あまり時間が取れないから、今日のところは少し庭を歩こう」
申し訳なさそうに告げられて返事に困る。