敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 首をかしげる私に、殿下が慌てた様子で口にした。
「まぁ、そうだったのですね」
 鎧の騎士様は『王太子殿下と親しくさせていただいている』と言っていたが、まさか殿下の愛馬を借り受けるほどの仲だったとは。
 私の護衛任務を終えた彼は、今頃は騎士団で別の職務に励んでいるのだろう。
 ……元気でいらっしゃるかしら。
 旅の最中、なにくれとなく世話を焼いてくれた騎士様を思い出すと、切なく胸が締め付けられた。
「どうかしたか?」
 急に黙り込んでしまった私に、殿下が怪訝そうに呼びかける。
「いえ、なんでもありません。……あなた、ランロットというのね。旅の間一緒だったのだけれど、私のこと覚えているかしら?」
 慌てて首を振り、ランロットに向き直って微笑みかけた。
 すると、ランロットも私のことを覚えてくれていたようで、甘えるように鼻先を寄せてきた。
「まぁ、嬉しい。いい子ね、ランロット」
 私とランロットが戯れている間に殿下は手際よく鞍を付け、遠駆けの準備を整えた。
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