敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 胸に湧く不可思議な感情に小さく首をかしげたけれど、ランロットが走りだすと一転、心がわくわくと高揚した。
 殿下は裏門から王宮を出ると、賑わう王都の街を背にして進む。
「どうだ? 気持ちがいいだろう」
「はい、とっても!」
 馬車の移動と違って、直接風が頬を撫でていくのが心地よかった。
「ははっ、そうか。もし乗馬に興味があれば、君と相性のよさそうな若馬がいる。どうだ、習ってみるか?」
「よろしいのですか!?」
 殿下からの嬉しすぎる提案に胸が弾む。
「朝議や朝の謁見がない日に限るが朝食の後に出来るだけ練習の時間を取ろう」
「え? 殿下が教えてくださるのですか?」
「当然だ。厩番にしろ護衛騎士にしろ、君に俺以外の男を近寄らせるわけがない。乗馬は俺が教える」
 殿下の手を煩わせてしまうのは申し訳ないと表情を曇らせる私に、彼はなんでもないことのように答えた。
 ……そういうものだろうか。
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