愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
穏やかな目元をした父親のほうが「碧唯の父の浩一郎です」と名乗りを上げる。六十歳は超えているだろうが、黒々とした豊富な髪は年齢を感じさせない。
「母の春子です。南さんに会うのを楽しみにしていたのよ」
春子のほうはシルバーグレーのショートカットヘアだが、目鼻立ちがはっきりとして肌はツヤツヤ。とても優しそうな雰囲気が全身から漂っている。
「さあさあ座って」
春子に促され、碧唯と並んでソファに腰を下ろす。
ふと目を向けると、リビングの一画に幼児用のジャングルジムや滑り台などがあった。
「あれは兄の子どものオモチャだ」
南の視線に気づいた碧唯がすぐさま説明する。碧唯には三歳くらいの甥っ子がいると言っていた。
「お恥ずかしながら、孫はかわいいものでね。そんなに頻繁に来ないとわかっていても、揃えずにはいられなくてね」
「爺バカ、婆バカってやつだ」