愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
かわいいものは好きなくせに、そういった点にドライなところがあるのは自覚している。
「いや、南は十分女らしいけど」
「また冗談ばっかり」
南を女として見ていないからこそ、長年ブレずに友人としてやってこられたのだろうから。
信号待ちで車が止まり、碧唯が南を見る。
いつになく甘さを滲ませた目が、南の鼓動を地味に速めていく。意図せず見つめ合い、普段とは違う空気が舞い降りた。
なにかが起こりそうで起こらない。そんな微妙なラインがもどかしいような、だけどその一線を越えるのが怖いような。
「もう少し素直ならかわいいのに」
「……え?」
いきなり意地悪な顔つきに変わったため、肩透かしを食ったようになる。
いったいなにを期待していたのか。
「なっ……私は十分素直ですよ? そこがわからないようじゃ碧唯くんもまだまだね」
恥ずかしくなり、碧唯から視線を外して前を向いた。