愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
◇◇◇
碧唯の両親に紹介され約二週間が過ぎた。
新居の準備も整い、ここまでくると結婚に実感がないとは言っていられない。
「ちょっ、南さん! その社員証!」
南が首から提げている社員証を見た真帆が奇想天外な声をあげる。
じつは昨日入籍を済ませているので、実感うんぬん言っている場合ではないのだ。
南はとうとう人妻になってしまった。
朝一で会社の人事部に届けを済ませ、一応夫の姓である〝瀬那〟を名乗るつもりで社員証を新調したのだ。
「入籍だけひとまず済ませたの」
「そうなんですかぁ。おめでとうございます」
「ありがとう」
彼との話し合いで、結婚式も挙げることになった。
碧唯の立派な家柄の手前、そうしないわけにはいかない。南自身が、女手ひとつで育ててくれた母を喜ばせたいのもある。
たとえそれが契約の名のもとに成り立つ結婚だとしても。そして友情婚であるとしても。
真帆の騒ぎで回りにいた人たちにも祝福の輪が広がる。方々から「おめでとうございます」と拍手が飛んできた。