愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
彼は優れた容姿と知性から多くのファンを抱え、練習は外野から常に黄色い声援が飛び交う中で行われるほどだったから。
精神集中が必要とされる競技なのに、彼は騒がしい状況もなんのその。洗練された弓道着姿もさることながら、凛とした佇まいに鋭い目で的を見つめる彼にみんなが羨望の眼差しを向けていた。
しかし南にとって碧唯はあくまでも小学校のときの上級生であり、部活の先輩。もちろん素敵な男性だと認識していたが、だからこそ自分には手の届かない人のため、それ以上に気持ちが膨れ上がりはしなかった。
幼い頃の彼を知っているせいだろうか。憧れの存在ではなく〝お兄ちゃん〟のような感じだった。
碧唯が高校を卒業すると同時に再び交流は途絶えたが、今度は南が高校三年生、彼が大学二年生のときに街のカフェで偶然再会した。
アイスカフェラテを注文したあとにお金が足りないと気づき、困っていた南の後ろに並んでいたのが碧唯だった。
当時は電子マネーを持ってなく、友達も一緒にはおらず、恥ずかしさいっぱいで注文をキャンセルしようとしていた南の分をさっと支払ってくれたのだ。
それ以来、友人としての付き合いがはじまった。
高校時代の先輩後輩という堅苦しさがなく同学年の友達に近い感じなのは、小学校のときの出会いがあったのも関係しているだろう。