愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

友人には『よく好きにならずにいられるね』と当時から言われているが、ふたりの間に恋愛感情は存在していない。

碧唯は大学でも当然ながらモテたため、恋人がいたのは南も知っている。
どの人ともあまり長続きしないようで、会うたびに別れたと聞くにつれ、やはり持つべきものは恋人よりも友人だとその都度思わされた。

南の一度だけある恋愛経験は、大学時代のたった半年。両親の離婚によるトラウマがあるため、あたたかな家庭に憧れるいっぽうで、相手に深くのめり込めずに愛想を尽かされてしまった。
なんとも乏しい経験値である。

チーズベーコンパイを口に運びつつカクテルを飲みながら、会わずにいた八カ月間の話に花が咲く。
相変わらず仕事漬けの毎日で素敵な男性との出会いもない。南のそんな自虐めいた話に、碧唯がやけに嬉しそうに聞き入る。

(私に彼氏ができないのを喜ぶなんてひどいんだから。きっと碧唯くんにも彼女がいないから、先を越されたくないのね)

同じ状況下に置かれた者同士のシンパシーが競争心にでも変化したか。

他愛のない話をしながら、ふたりとも三杯目に突入していた。
ミモザはそれほど高いアルコール度数ではないが、久しぶりの再会でふわふわといい気分だ。
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