愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

会話が途切れ、三杯目をひと思いに飲み干したとき、ふと退勤時に不安を覚えた自分の将来が頭の中に浮かんだ。

(このまま誰とも恋愛できずにいたら、私、孤独死するんじゃないかな)

ひとり暮らしの高齢者の悲しい結末は、ネットのトピックで何度か目にしている。とても寂しい最期だと人ごとではない。

(でも結婚以前に恋人もいないんだもんね……)

南が小学四年生のときに父親が外に女の人を作って出ていったため、当時は結婚なんてするものじゃないと悲観に暮れた。永遠の愛なんて存在しないし、信じられないと。

しかし時が経つにつれ、同時にあたたかな家庭への憧れも強くなっていった。身近にないからこそ、強く求めるのかもしれない。
今の仕事はもちろん好きだし、やりがいも誇りも持っているが、一時は保育士を目指したほど子どもが大好きなのも、その理由のひとつである。

(でも、それとはべつにあたたかな家庭と……)


「子どもがほしいな」


ほろ酔い気分も手伝い、脳内にだけ留めておけずに最後のフレーズだけがポロッと漏れる。口が勝手に動いた感覚だった。
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