愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
翌日、南は以前リサーチを担当した不動産会社に部長の沖山と訪れ、打ち合わせを終えてタクシーに乗っていた。
六時を過ぎたため直帰となり、沖山がマンションまで送り届けてくれるという。
昨夜も碧唯は帰りが遅かった。
あの時間に庁舎を出れば、南とそれほど変わらない時間に帰宅するはずなのに、南がベッドに入ってずいぶん経ってからだった。
咲穂と一緒に過ごしていたのだろう。ただ食事をしただけか、それともホテルの部屋か。
ローマで会ったときに彼女から感じた碧唯への好意は、南の勘違いでも一方通行でもなかったようだ。
それならどうして南と結婚したのか。彼女とは結婚できない理由がなにかあるのだろうか。
咲穂と会っていた罪悪感からか、寝入ったふりをする南の額にキスをひとつ落とし、碧唯は眠りについた。
そのキスと、親しげな様子のふたりの残像が頭から離れず、南は朝まで一睡もできなかった。
今朝、顔を合わせたときには何事もなかったようにいつもと変わらなかったが、碧唯はポーカーフェイスがうまいから、心を上手に隠しているのだろう。
おかげで南の気分は朝から落ち込み、体調も優れない。