愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
今の南にできるのはそれだけだった。
「瀬那碧唯さんの関係者の方、いらっしゃいますか?」
ほどなくして掛けられた声のほうに弾かれたように振り返る。
背が高く、容姿の整ったドクターだった。首から〝神楽〟というネームが提げられている。
「あ、あの、妻です」
彼のもとに駆け寄り、名乗りを上げる。南の後ろに外務省の人たちも首を揃えた。
「こちらへどうぞ」
彼に誘われ、処置室の中に足を踏み入れる。
この先には包帯にぐるぐる巻きにされた彼がいるかもしれない。たくさんのチューブに繋がれ、酸素マスクをつけているかもしれない。
気持ちばかりが急いて、なにもないフラットなフロアで躓きそうになった。
「容態は――」