愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
マンションの前でタクシーを降り、碧唯に手を引かれてエレベーターに乗る。
「昨日は悪かった」
唐突に碧唯が謝罪する。
「ううん、私こそ、ごめんなさい。……私も碧唯くんに伝えたいことがあるの」
先ほど彼がくれた言葉が南の心をより強くする。
でも、彼に好きだと言われなくても伝えようと思っていた大事な言葉だ。
エレベーターが止まり、扉が開く。
碧唯は南がなにを言おうとしているのかわかっているみたいに、微笑みを浮かべて部屋まで誘った。
玄関のドアを閉めて鍵をかけた途端、それまでの澄まし顔を一変させ、碧唯がその場で南の腰を引き寄せる。
「……友達なんて嫌なの」
「俺は、はなからそんなつもりはない」
「え? ……最初から?」
彼の気持ちは病院で聞かされたが、この結婚を決めたときからだとは知りもしない。
間近で見つめる瞳に南が映り込んで揺れる。