愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

カーテンの隙間から零れる光が、部屋の中に長く射し込む。
八月も終わりだが、夏の太陽の威力はまだ衰えていない。

眩しい光に導かれるようにして目を開けると、南の隣に〝あるもの〟が寝ていた。


「……あれ? なんで?」


今自分がいる場所がわからなくなる。
結婚して碧唯と暮らしていたのは夢だったのかと錯覚するくらい、頭の中が混乱した。

実家でいつも一緒に寝ていた大きなクマのぬいぐるみがそこにあったのだ。

このマンションへは引っ越し当日にダンボールに詰めて持ってきた。でも、あまりにも幼稚っぽいためしまったままだったのだ。

それがなぜここに……?

南に身に覚えがなければ、碧唯以外には考えられないのだが。
目をパチパチとまたたかせつつ手を伸ばし、胸にぎゅっと抱きしめる。


「あぁ、やっぱり落ち着く……」
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