愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
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土曜日にも関わらず、庁舎には多くの職員が登庁していた。
昨日、首相と欧州理事会議長との会談は無事に執り行われたが、その直後に生じた事故によるものが大きい。特に欧州局にはほぼ全員が顔を揃えていた。
「瀬那さん、大丈夫なんですか?」
フロアに入るなり同僚たちが声を掛けながら集まってくる。
「ああ、心配をかけて済まなかった。この通り、体はなんともない」
「よかった」
「ところで、昨日事故を起こした運転手の容態は?」
「一命はとりとめたそうです」
同僚によると、運転中に意識を喪失し、碧唯の乗る先行車両に追突。運転席と助手席は無事だったが、後部座席に乗っていた碧唯だけ体に衝撃を受けてしまった。
意識喪失は心臓疾患によるものだったという。それほどスピードは出ていなかったように記憶しているが、意識を失いアクセルを踏み込んでしまったようだ。
同乗者もむち打ちを負ったらしい。
首相や欧州理事会の議長を乗せた車の事故でなかったのは不幸中の幸いだが、今後、健康面も含めたさらなる厳しいチェックが必要だろう。
「局長も心配されていましたから、早く顔を見せてあげてください」
彼に促され、局長のもとへ向かった。