愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「それならロマンジュに行きたい」
「ロマンジュ?」
「うん」
今のふたりがはじまったあの場所で、ふたりお決まりのカクテルで乾杯したい。
「あ、でも車だからお酒は無理ね」
「あとで回収すれば問題ない」
「ほんと? じゃあ決まり」
ふたりで笑い合い、パーキングまであともう少しというそのとき。
「瀬那くん?」
女性の声が少し離れた場所から掛けられた。
振り返った先にいたのは、碧唯の同期である咲穂だった。
体のラインに沿ったオフショルダーのワンピースが美しさを惜しげもなく振りまく。
幸せいっぱいだった南の気持ちに薄っすらと影が差した。
今こんなところで会いたくなかったと思うのは、さすがに彼女に失礼だろう。
「咲穂、こんなところでどうしたんだ」