愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
碧唯が軽く手を上げながら彼女に応える。
「これから待ち合わせなの」
駆け寄ってきた咲穂が南に気づいた。
「あらっ、南さん」
「こ、こんばんは」
思わず身構えて頭を下げたそのとき、彼女の腕が南をふわりと包み込んだ。甘くエレガントな香りが鼻をかすめる。
「また会えてうれしい」
突然の抱擁に戸惑って茫然としていると、碧唯が「だから距離感」と咲穂を引きはがした。
「驚かせてごめんなさいね、南さん。わっ、ほんとに美人さんね。みんなが言っていただけある」
「……はい?」
初めて会ったような口ぶりが南をさらに混乱させる。
南の困惑ぶりに気づいたのか、咲穂がハッとしたように続ける。