愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

『ただの挨拶だろう? そう怒るなって。ほら、ミナミもぽかんとしてるじゃないか』


アンジェロは最後のフレーズだけ英語に変え、南に向かって微笑んだ。


『は、はい……』


曖昧に答えて笑い返す。


『碧唯が婚約者を連れて帰ってくるなんて思いもしなかったよ。恋人がいるとも言ってなかったじゃないか。綺麗な女性だから内緒にしてたんだな。ったく妬けるぜ。ところでうちのボスにはもう挨拶は済ませたのか?』
『いや、今来たところだから』
『じゃ、早速行こう。ミナミの紹介もしなくちゃならないだろう?』


碧唯はアンジェロにイタリア語で返しながら、「行こうか」と日本語で囁いて南の腰に手を添えた。
突然だったが、さっきのように変な声は出さないよう堪えた。

アンジェロのあとを追っていくと、その先に立派な体格をした六十代くらいの男性が見えた。横にも縦にも大きな人だ。
豊富な赤毛の髪を整髪料でしっかり整え、イタリア人らしい精悍な顔つきをしている。
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