愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

一瞬呆気にとられた男性が、すぐに柔和な笑みを浮かべる。


『残念だな。まぁこんなパーティーだから誰かの同伴だとは思ったけどね。またひとりでいるときにでも声を掛けるよ』


彼は『チャオ~!』と軽い調子で手を振りながら南たちから離れていった。


「ひとりでフラフラするな」
「ごめんなさい。でもフラフラなんてしてないよ。さっきの人がティラミスをこぼしちゃって、ハンカチを貸してあげただけ。――あっ、返してもらうの忘れちゃった」


碧唯が横から入ってきたため、話題が逸れてうっかりしてしまった。大勢の人が集まっているここで、人の波に消えた彼を探すのは難しいだろう。


「ハンカチなら買ってやる。とにかく俺から離れるな」
「はい、そうします」


どことなく不機嫌そうな顔だ。
会場で別行動をとっていたらパートナーの意味がないと言いたいのだろう。
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