愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「あれ? 瀬那くん?」
碧唯を呼ぶ声に顔を上げる。自分たち以外から久しぶりに聞く日本語だった。
テーブル近くに栗色のロングヘアの女性が立つ。大きな目をした派手な顔立ちの美しい女性だ。
碧唯に差し出したジェラートを急いで引っ込めた。
「武井、こんなところでどうしたんだ?」
「外出してたから、ちょっと早いお昼をとってから大使館に戻ろうと思って」
どうやら同僚らしい。となると彼女も外交官で碧唯同様にエリートだ。
彼女の視線がツツツと南のほうを向く。
「……もしかして噂の彼女?」
「どんな噂か知らないが、彼女は俺の婚約者」
「倉科南です」
南が頭を下げると、彼女も「武井咲穂です」と名乗った。
「ご一緒してもいい?」
「あ、はい、もちろんです」