愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

彼女によると碧唯とは同期入社で、同時期にイタリアの日本大使館勤務になったと言う。ずば抜けてエリート街道をひた走る碧唯は、こちらでも要職に就いているらしい。

碧唯から仕事の話はめったに聞かなかったため、咲穂から聞く彼の華々しい話は全部南が初めて聞くもの。碧唯は隣で相槌を打っているだけだが、それは注文したカルボナーラを彼女が完食しても続いた。
もちろん南たちのジェラートもとっくにお腹の中である。


「ちょっと失礼」


彼女の話がきりのいいところで碧唯が席を立ってレストルームへ向かう。南は咲穂とふたりきりになった。
話し尽くしたあとのため話題を見つけられず、手持無沙汰に景色に目を向ける。


「こんな素敵な街で働かれていて羨ましいです」
「そう? 慣れちゃうとなんでもないんだけどね」
「碧唯くんもそう言ってました」


南にはどこを向いても絵になる景色だが、長く住むとありふれたものになってしまうらしい。慣れるのも善し悪しだ。
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